知恵10 材料に対する株価の反応を見る

 「株価は株価に聞け」ということが、株式市場ではよく言われます。確かに、株価は、さまざまな情報や事情を抱えている投資家やの投資行動を反映しながら動くので、需給状態や株価の先行きを知るための大切なヒントを提供してくれます。

 たとえば、業績が悪く、株価がボロボロに売り込まれている株があるとします。その株に、さらに業績を下方修正したとか、アナリストが投資判断を下げたというような悪材料が出てきたとします。その時に、その悪材料に対して無反応だったら、どう考えたらよいでしょうか。

 これは、株価が悪材料をほとんど織り込んでしまったと考えてよいでしょう。そこからの下落余地は、かなり限定的になってきている可能性があります。

 さらに、その株が上昇し始め、25日移動平均線や13週移動平均線などが上向き始めたら、その株は上昇トレンド入りした可能性が高くなります。そんな時は、表面的な業績は悪くても、ファンダメンタルズ面で何か改善の兆しが出てきてないか調べて見ましょう。たとえば、在庫の整理が進んだとか、月次成績が改善し始めたとか、そのような業績底打ちの兆候が見えていたら、絶好の買い場になる可能性が高いです。

 逆に、好材料が出たのに株が高値から急落してしまったら、どう考えればよいでしょうか。これは、その好材料が事前に株価に織り込まれてしまっていたと考えられます。また、好材料ではあるものの、事前の予想以下のものであり、失望されている可能性もあります。特に、それまでの株価上昇率が大きく、過熱感が出ていて、PERなども割高になっている銘柄が、好材料を無視して急落する動きになったら、要注意です。

 では、高値圏で、悪材料が出たのに、株価がそれを無視して上昇し続けたら、どうでしょうか?

 これは、危険な兆候だと思ったほうがいいと思います。

上昇トレンドの初期段階で、悪材料を無視して上昇し続ける動きは、最高に良いパターンです。しかし、上昇トレンドがかなり続いた後、過熱感が出ているところで、さらに悪材料を無視して上昇する動きは、バブル的な動きになっている可能性があります。

 1980年代末の歴史的なバブル相場でも、最後の半年間は、日銀の金融引締めという悪材料を無視して株価が上昇し続け、その後バブルが崩壊しました。

 逆に、株価が下落し続け、安値圏で、好材料が出たのにさらに株価が下落してしまった場合には、これは絶好の買い場となる可能性が高いです。ただ、この場合には、株価が下がりきるのをまって、25日移動平均線が上向き始めるなど、テクニカル面での上昇トレンド入りのサインを確認してから買いにいくのがいいと思います。

 以上、まとめると、

安値圏で、悪材料を無視して株価が上がり始める→買いサイン

高値圏で、好材料を無視して株価が急落する→売りサイン

安値圏で、好材料を無視して株価が続落する→買い場が近いサイン

高値圏で、悪材料を無視して株価が上昇する→バブル状態のサイン

ということが、一般的に言えると思います。